うまい泉州 大阪泉州の食の総合サイト

食材紹介

改めて、水ナスってどんなナス?

2022.12.1

改めて、水なすってどんななす?

大阪泉州を代表する農産物といえば、水なすを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。生でも食べられるほど瑞々しいといわれる水なす、この水なすが紹介される際には、果実を手で絞って水(果汁)が滴り落ちる様子がよく取り上げられます。しかし、ただ写真などを見るだけでは、「他のなすとの違いがいまひとつ分からない」、「実は水なすを絞っている人の握力がすごいのでは!?」という声もあるように思います。
地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所では、特産物である水なすについて、これまで様々な研究を行ってきました。今回はその一部に触れながら、少し学術的に水なすの特徴についてご紹介したいと思います。

水なすの果実は水分量が多いの?

水なすの特徴として、「水分を多く含んでおり、瑞々しい」ということがよく言われますが、他の一般的ななすと、どれほど違うのでしょうか。
実は水分量だけを見ると、水なすと一般的ななすにはそれほど大きな差はありません。過去に調べられた数値で比較すると水なすの水分量は95.2%、大阪の南河内地域でも栽培されている千両二号という一般的ななす品種は94.0%と、少し水なすの方が高いものの、1.0%ほどの違いです。栽培時期や栽培方法などによって多少数値は変わりますが、1.0%というと例えば150 gの果実ではわずか1.5 g分です。
では、なぜ水なすの果実を絞ると水が滴るようにあふれ出るのでしょうか。

結局、水なすが瑞々しいってどういうこと?

それにはまず『瑞々しさ』について考える必要があります。水分量が変わらない水なすの瑞々しさを、どのように評価するのか。
これまでの報告では、物性測定装置といわれる食品の硬さなどを評価するための装置を使って評価が行われています。

物性測定装置

具体的には、生のなすの果肉を一定の大きさで切り出し、物性測定装置を使って10 N(ニュートン)という力で圧縮した際に、果肉から出た果汁の量で評価します。10 Nの力というのは1 kgの重りによる力と同じくらいの大きさで、人のかむ力は大体400~700 Nくらいといわれますので、強くはない力です。
この方法で水なすと千両二号を比べると明らかに果汁の出る量が違います。つまり、弱い力で果肉から果汁がたくさん出てくるということです。これが水なすの瑞々しさの秘密、そして一般的ななすとの違いです。
ちなみにこの測定方法ですが、お肉のジューシーさも似た方法で調べられています。

まだ水なすを食べたことない方は、他のなすでは味わえない独特の食感や味わいを、食べたことある方は、改めて水なすの特徴を知ったうえで、ぜひ新鮮な水なすを大阪泉州の地で楽しんでいただけると幸いです。

執筆者名

研究機関

大阪府立環境農林水産総合研究所

関連記事