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生産者紹介

やっとたどり着いたヨーロピアンリーフミックス GreenGroove 中島光博

2023.4.11

GreenGroove(グリーングルーヴ)は、ヨーロピアンリーフミックスを主力とする多彩な葉物野菜を栽培する、大阪府和泉市の水耕栽培農園です。多くの料理人を唸らせる、ワンランク上のリーフミックス。その栽培に至るまでのお話をお伺いして来ました。
GreenGroove(グリーングルーヴ)
代表 中島光博

電気機器メーカーから農業へ

―就農のきっかけはご友人からのお誘いとの事ですが、以前はどんな事をされていたのでしょうか
僕は広島の生まれで、大学は神戸、そのまま神戸で13年間過ごしました。前職は電気機器メーカーの制作部でテクニカルライターをしていました。テクニカルライターというのは、商品の説明書を作る仕事です。

―もともと農業とは全く違う分野のお仕事をされていのですね。
農業を自分でやるなんて夢にも思っていませんでした。
当時働いていた会社は、業績 世界シェアNo.1。社内の人間関係もとても良好で、給与や待遇面についても何一つ不満はありませんでした。その環境を、ある種ぬるま湯の様に感じ始めていた20代後半、このまま10年同じ仕事を続けていて、リストラなんかにあったら潰しが効かなくなるなと思い、キャリアアップのための勉強をはじめました。
それは農業の勉強というわけではなかったんですが、ちょうどそんな時、5,6年ぶりに大学時代の友人から連絡があり、農業で起業しないかと誘われました。まさにこれからのキャリアについて考えていた時期だったのもあり、この誘いをうけたのが農業をはじめたきっかけです。

試行錯誤の創業期

―現在多くの料理人や消費者から支持を受けているリーフミックスですが、こちらの栽培に至るまでは、紆余曲折があったそうですね。
元々なんの下地もないところから独学で農業をはじめました。水耕栽培を始めて15年目になります。
最初はリーフレタスの水耕栽培から始めましたが見事に失敗。理由は株間(かぶま)、つまり植える間隔ですね。これを狭くしすぎてしまったんです。次に、幅を詰めるのがダメならという事で、上のスペースを有効活用できる青ネギを始めました。これは手間暇を掛けてなかなか良いものを作る事が出来ました。しかしこれも結果的には、市場相場の壁にぶち当たって失敗に終わります。
意外に思われるかも知れませんが、15、6年前というのは、見た目、産地、値段だけで価値が決まる時代でした。つまり、どんなにいいものを作っても評価の対象に入りにくかった。判断基準に味の良さや品種といったものはあまりない時代でした。
直売所も道の駅もない時代で、自分で自由に値段を付けて販売する方法もなく、レストランなどに直接営業をしたりしました。当時は農家が営業するのは珍しく、話はよく聞いてもらえました。それでもやはり相場の壁は厚く、思うように売上は上がりませんでした。そこで自分たちの言い値が通る商品は何かと考えた結果、ハーブにたどり着きました。当時はハーブ農家なんてほとんど存在せず、ましてや1つの農家で複数のハーブを作っている所などありませんでした。

ただ、これでもまだ諸手を挙げて成功というわけにはいかず、今度は販売量の壁にぶつかりました。たしかに価格面はある程度こちらの思惑通りに設定出来ますが、数がでません。レストランのメニューを考えてもらうとわかると思うんですが、ハーブだけを大量に使う料理はないですよね。
ただ、レストランに営業に行く中で、トマトやキャベツもほしいと言う声があって、直売所や農家から買い付けて販売したりもしました。これが次に始めた移動販売のはじまりです。

マルシェが転機に

―すごく目まぐるしい事業展開ですね。
しかし大阪での移動販売は、朝から晩まで働いても思うように売り上げはあがりません。そんな時に、東京でマルシェというものが流行っているという話を耳にしました。そこで当時は東京で唯一だったと思うんですけど、青山のファーマーズマーケットというマルシェに、車に野菜を乗せて販売に行きました。するとそこでは、大阪の2~3倍の売上があり、これはいいぞという事で、車の隙間という隙間に野菜を詰め込んで、毎週末東京に車を走らせました。夜中の1時出発。翌朝8時到着という強行軍です。
この時は自分たちの野菜と、近隣で仕入れた野菜も並べて「関西お野菜」と銘打って販売していました。当時まだ東京には水菜がなく、ズッキーニも珍しかったようで重宝がられました。そのほか、ハーブや空輸でしか買えないヨーロッパ野菜も作って販売していました。
―かなり良い流れが出来てきたのですね。
そうですね。東京のフレンチの有名店で業界では知らない人がいないぐらい有名なシェフが毎週買いに来てくれたりもしました。
そんな感じで徐々にうちの商品が評価され始めた頃、大阪で農業をしっかりと突き詰めたいと思い、このタイミングで僕は独立して、改めて大阪に腰を据えて活動する事に決めたんです。現在は大阪の淀屋橋odonaでのマルシェで定期的に出店しています。

リーフミックス美味しさのひみつ

―リーフミックスをはじめられたきっかけは何ですか?
マルシェで野菜販売をしているとき、切ってサラダにしてほしいという要望が多くて、農場にあった色目のよさそうな野菜を適当にちぎってお皿に盛ってみたら、自分でも思ってなかったぐらい良いものになって、これは売れるなって思いはじめたのがきっかけではじめました。

―こちらのリーフミックスは非常に品質が高く、G20サミット大阪2019でも指定食材として採用されるなど、各方面で高い評価を得ているとお聞きします。なんでも、最初に生えてきた葉しか収穫しないそうですね。
はい。肥料の種類や量、栽培の仕方を工夫し試行錯誤を重ね、野菜の素の味をいかした肉厚で日持ちのする葉野菜をこだわって育てています。こだわりの品質である分やはり値段は高くなります。
―必然的に高級店での使用が中心となるんですね。
そうですね、これは戦略というより、シェフのオーダーに合わせた物を作っていくという循環で、結果的に高級店での使用が中心になったという感じです。

―具体的には、どういった所で食べたり購入したりできるのでしょうか。
泉州のレストランではトラットリアルチアーノボンヴィラージュオゼクッチーナテントビストロオゼ・ミニオンジョージアンテラスリバージュブランなどです。
直売所では葉菜の森愛彩ランドららぽーと和泉ららぽーと堺、その他では無印良品イオンモール北花田店など。
それから先程お話しした淀屋橋odonaでのマルシェでは、近隣府県の農家の野菜含めて100を超える食材を毎週持って行っています。ここは一般の方だけでなく、飲食店の方も買い出しに来られるので、僕の知らない店でもうちの食材が使われている事も多いです。
どれだけの野菜を販売しているかはInstagramでお知らせしていますよ。

新しい技術への挑戦

―今後の展望についてお聞かせください。
商品自体はまだまだレベルアップしたいと思っています。それに加えて、スマート農業、IT化などの部分で次世代社会も見据えた都市近郊農業の創造に向け、先進的な技術を使った新しい農業の形を構築していきたいと思っています。

独学で農業を始められ試行錯誤を繰り返し、様々ことにチャレンジする中島さんの姿勢に感銘を受けました。今年3月にはスタートアップ企業2社と「都市型の有機農業DX」コンソーシアムの設立に参画するなど中島さんの今後の活躍に目が離せません。

Shop Data / 店舗情報

GreenGroove(グリーングルーヴ)

公式サイト https://www.greengroove.jp/
https://www.instagram.com/greengroove_osaka/

執筆者名

編集部

うまい!泉州編集部

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