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こだわりの無農薬いちご栽培 橘農園 橘大三郎

2023.5.19

トマト農家歴20数年にして、いちご農園をはじめられたばかりの橘農園に、こだわりの無農薬栽培についてお話をお伺ってきました。
橘農園
橘大三郎

環境問題への関心とトマト好きが高じてトマト農家に

―いちご園は最近はじめられたとの事ですが、いつ頃はじめられたのでしょうか。
昨年(2022年)の9月23日からですね。出荷はその年の12月1日からはじめました。
―どれくらいのイチゴを栽培されているのでしょうか。
現在は一反(1,000平行メートル)で栽培していますが、今後はもっと面積を広げていきたいと思っています。三倍ぐらいにはしたいですね。

―元々はトマト農家をされていたとお聞きしましたが、それはどういった経緯だったのでしょうか。
トマトをはじめたのは25年ぐらい前になります。元々環境問題や食糧問題、食料の自給率に関心がありました。トマトが好きだったので、トマトの栽培をしたいと思ったんです。
ですが、ただ普通にトマトを栽培するのではなく、近代農業への憧れみたいなものもあって、水耕栽培でトマトを作ってみたいと思ったんです。水耕栽培は葉物野菜などにも用いられる栽培法です。それで色々探してみたところ、枚方市に水耕栽培のトマト農家を見つけました。その方も偶然“橘“という同じ苗字でなんだかご縁を感じました。ちょうど高齢でやめようと思われていたようで、畑を貸してもいいと言われたんです。息子さんもやっていたそうですが、その時はすでにやめられていましたので、息子代わりのような感じで色々と教えてもらいました。
この時はイチゴを栽培する事になるとは、思ってもいなかったですね。

偶然が重なってはじめたいちご農園

―ではその、いちご農園を始められたきっかけについても教えてください。
枚方では18年、ここ阪南市でのトマト栽培は5年になりますが、数年前から向かいのビニールハウスが廃墟になっていて、問題になっていました。いわゆる耕作放棄地ですね。そこで地主から、そこを借りてくれないかと相談がありました。少し悩んだんですが、トマトを作ろうと思って借りる事にしました。ところが色々な人と話す中で、イチゴもいいんじゃないかという話が出て来まして、これは面白いかもしれないなと。

無農薬と水へのこだわり

―それで思い切っていちご園をはじめられたわけですね。トマトに続いてイチゴも無農薬で栽培されているそうですが、イチゴの無農薬栽培というのはあまり見かけませんね。
これはかなり珍しいです。なんといっても害虫問題がありますからね。うちでは、ヤシガラをメインにした土を入れて液肥を入れて作った土壌のビニールハウスに、優良微生物を使って害虫を防いでいます。もちろん空気の流れがありますから、微生物を土壌やハウス内に入れても流れていってしまいます。だから微生物を一日に何度も入れ、それを毎日繰り返すんです。そうする事によって、ハウス内に優良微生物が定着してくるんです。ついこないだは、ハウス内で蛍を見かけましたよ。
―それはすごいですね。相当きれいな環境になっているという事ですよね。
作物がよく育つ『場』を作る、という事が生産者にとっては大事な仕事だと思っています。いい環境というのは、作物にとってはもちろんですが、そこで働く私たちや、来ていただくお客様にとっても、きっと良い影響を与えてくれると思ってます。

―無農薬での栽培は、イチゴの味にどんな影響を与えるんでしょうか。
イチゴの味が濃くなります。コクが出るというんでしょうかね。どうぞ、食べてみてください。
―これはすごい!口の中にイチゴの濃厚な味が広がりますね。
他にも水へのこだわりという事で、浄水器を使用しておられるそうですが、水耕栽培における水の重要性について教えてください。

水はめちゃくちゃ重要です。有機物の元となるものは細胞で、その細胞の元となるのは水です。つまり良いものを作るには、良い水が必要。それに良い水は、バクテリアも喜びます。結果として味に多大な影響を及ぼしますね。

これからの橘農園

―それでは最後に、いちご農園の今後の展開について教えてください。
先程食べてもらったのは『はるひ』という品種なんですが、1年目は『紅ほっぺ』と『よつぼし』を栽培しました。それで2年目はこの『はるひ』という品種に力を入れようと思っています。これはまだ市場にはほとんど出回っていない品種です。味も食べていただいた通り、抜群です。
今後は世界でも珍しい品種を、世界でも珍しい無農薬で育てて、そしてイチゴビールなんかも作っていきたいですね。
―それはぜひ飲んでみたいです!
現在橘さんの所のトマトやイチゴは、どのようにして購入できますか?
トマトもイチゴも、この辺りの道の駅などで購入できます。僕は地産地消という考え方を大事にしているので、たとえばブランド化してネットで大々的に販売、というのは考えていないんです。環境問題や食糧問題を思うと、地産地消での社会貢献も必要だと思うので。
―なるほど。これはぜひ皆様にここ泉州の阪南市に直接訪れていただいて、橘さんのトマトやイチゴを味わっていただきたいですね。本日はありがとうございました。

Shop Data / 店舗情報

いちご狩りの橘農園

公式サイト https://tachibana-nouen.com/

執筆者名

編集部

うまい!泉州編集部

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