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挑戦し続ける水なす農家 草竹農園 草竹茂樹

2023.6.22

泉州水なす専用のぬか漬けキットなど、独自の商品開発にも取り組まれている泉州水なす農家の草竹農園で、お話をお伺いしてきました。
草竹農園 
草竹茂樹

紡績業から水なす農家へ

―草竹農園はいつ頃から水なすの栽培を始められたのでしょうか。
30年ぐらい前から父がはじめました。阪南市は昔、紡績で栄えた町だったので、曾祖父の代は紡績をしていたんですよ。ご存知の通りそれが段々と斜陽になってきて、父の代で水なすを始めました。父は水ナスを作るのが上手で、土をずっと作っていましたね。
私も色々な仕事をして今の仕事に落ち着きましたが、やっぱり元々なすが好きなんですよ。頑張って良いなすを作れば、それがしっかりお客さんの反応として見えるので、とてもやりがいがあります。

とても繊細な泉州水なす

―草竹農園の泉州水なすの特徴について教えてください。
水なすが全国的に広まってきたのはこの30年ぐらいですが、産地としては新潟・泉州・和歌山があります。新潟の水なすは気候の問題で小ぶりですね。この泉州で作っているのは、水なすの中でも『絹なす』で、これは水分量が多くて皮が薄いという特徴があります。ちょっとした事で皮が傷んでしまうので、取り扱いにはとても気を遣います。それと、うちは井戸水を使って栽培しています。

草竹農園の水なす浅漬け

―水なすの浅漬けにとても力を入れておられますね。
そうですね。以前から販売はしていたんですが、草竹農園の水なすを買って家で漬けても同じ味にならないという声もありました。うちのぬか漬けは、母のぬか床と父の作った水なすが見事にマッチして、手前味噌ながら本当に美味しいんです。
そこで、ぬか床を商品化することにしました。これが『TUKERU×TUKERU』という、誰でもかんたんにぬか漬けが出来る、泉州水なす専用のぬか漬けキットです。現在では『ヌカマルシェ』という、さらに発展させたキットを販売しています。うちのぬか床で漬けると、生きた乳酸菌がしっかり腸まで届くので健康にもいいですよ。
これは他の農家さんもそうだと思いますが、漬物になるのはA級品だけなんです。B級以下を使うと、どうしても色が悪くなってしまうんです。それだけ水なすは繊細なんです。

他にも、大阪府立環境農林水産研究所とコラボして、ヒマラヤ岩塩に茄子の色を付けて紫色の塩をつくったりもしました。色を安定させるのがとても難しかったが、できた塩は角がとれてとてもマイルドでしたね。
そんな風に、現状に満足せず常に色々な商品を模索しています。

―草竹農園の水なすは、ふるさと納税のほか、どのような購入方法がありますか。
直販ではありませんが、安心堂というネットショップで販売しています。トップワールドという、大阪北部(摂津、上新庄)を中心に展開するスーパーでも販売しています。泉州は水なす農家が多いので、あえて大阪の北の方に出荷しています。

―草竹農園さんの水なす、ぜひ食べてみたくなりました。ぬか漬け以外にオススメの食べ方はありますか?
やっぱりぬか漬けになっちゃうんですが、古漬(ふるづけ)という食べ方がお勧めです。これはぬか漬けを1週間から10日程置いたものをいうんですが、ヘタを落として細かくいちょう切りにします。それを刻んで水分を絞って、しょうがを擦って醤油をかけて食べると美味しいんですよ。ぜひ試してみてください。

農業は自分と向き合うこと

―色々なご経験をされてきて辿り着かれた農業ですが、この仕事をするにあたって大切な事は何でしょうか。
ちゃんと自分と向き合うことですね。自分の弱さと戦えることが大切です。それはたとえば、すべての人に平等に与えられた24時間という時間を、ちゃんと使えるかどうか。私は好きで飛び込んだ世界なので、時間は関係なく働いています。なすの栽培は天候に左右されるので、それこそ夜中の3時にトラクターに乗って畑に行くこともあります。天気、自然と向き合うことも大切ですね。

―最後に今後の展望についてお教えください。
現在水なすは、ハウスで5棟ぐらいと路地で1、2反程度栽培しています。これらの生産量を増やすこともですが、水なす自体を全国・全世界に広めていきたいですね。先程お話ししたような商品開発や、これまでにもさせていただいたアーティストとのコラボ商品など、まだまだ精力的にやっていきたいと思っています。

執筆者名

編集部

うまい!泉州編集部

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