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後世につなぐ泉州キャベツと泉州たまねぎ 射手矢農園 射手矢康之

2023.1.31

一面に広大なきゃべつ畑が広がるあぜ道を越え、今回は泉州キャベツ、泉州たまねぎの価値向上に情熱を燃やす、射手矢農園の射手矢康之さんを訪ねました。

射手矢農園
射手矢康之

泉州キャベツの語源

ーこちらに車で来る途中、広大な敷地にたくさんのキャベツが見えましたが、どのくらいの種類のキャベツを作ってらっしゃるのでしょうか。
キャベツは6種類植えています。これらはすべて泉州キャベツなんですが、まず泉州キャベツが何かという事からご説明しましょう。
実は、そもそも『泉州キャベツ』という言葉を最初に使ったのは僕だと思っています。というのも、『泉州キャベツ』という言葉は僕がテレビで15年ぐらい前に使うまで、調べた限りではどこにも記述が見当たらないんですよ。
メインで栽培してるいのは松波キャベツという品種なんですが、『松波キャベツ』という表現だと、松波キャベツしか訴求出来ないですよね。でも例えば『温州みかん』のような包括的な言い方をすれば、その中に品種は色々ありますがひとまとめでブランドになります。
だから泉州で作っているキャベツなので、『泉州キャベツ』という打ち出し方をする方が良いのではないかと考えたんです。それでメディアに出演する度に『泉州キャベツ』という言葉を使うようにしていたところ、定着してきました。
こちらは私が使い始めではないですが、『泉州たまねぎ』も同様に種類は何種類もありますよね。
ーなるほど、将来的なブランディングまで考慮して『泉州キャベツ』という言葉をチョイスされたわけですね。

泉州キャベツ栽培のむずかしさ

ーところで、そのメインで栽培されている松波キャベツ、やはり栽培は難しいものなのでしょうか。
単純にキャベツを育てる、ということだけであればそれ程難しくはありません。環境をちゃんと整えてあげれば、いろんな悪条件の下でも育ちます。でもスーパーに売る『商品』として大きさや形の整ったものを作るという意味であれば難しいです。特に昨今は天候不順なども多いので。だから出来るだけうちの農園では、キャベツにストレスがかからず、健康に育つように工夫して栽培しています。
味は美味しいのですが、そういった作りにくさから松波キャベツを作るのをやめた農家もたくさんあります。ただ、僕はそれでも一番美味しいキャベツだと思っているので、ずっと続けていくつもりです。

50年以上続くたまねぎ栽培

ーこの辺りではキャベツの栽培は、いつごろ始まったんでしょうか。
僕が就農する前、50年ほど前からこの地域で作られていました。たまねぎは大正時代ぐらいからだと思います。射手矢農園自体は古くからこの地で農業をしていて、僕で10代目です。

ー射手矢農園さんは落花生も人気商品とお聞きしました。私も大阪の居酒屋で食べた事がありますが、大変美味しかったです。イベント販売でも毎回大人気ですね。
とてもありがたい事です。落花生はたまねぎを収穫したあとに植えるんですが、面積としてはたまねぎやキャベツの20分の1ぐらいなんです。
ーそのたまねぎですが、以前イベントで射手矢農園のプレミアムたまねぎを使ったハンバーガーというのをお見かけしました。
何度か使っていただいていますね。これは栽培方法をプレミアム化した特別なたまねぎです。特徴としては、たまねぎの辛味成分をちょっと感じにくくしてあります。生で食べてただくと一番実感できると思います。たまねぎ嫌いの方でも丸かじりできます。

知らず知らずのうちに口にしている!?射手矢農園の野菜

ー射手矢農園のたまねぎは、どちらで購入が可能でしょうか。
いつでも確実に手に入るのは通販のドレッシングですね。たまねぎ自体も通販していますが、通年ではありません。そのほかの野菜だと、堺の無印良品、なんば高島屋の高島屋ファームぐらいですね。
先程も言った通り、『商品』として一般流通に乗せる大きさや形に作るのは難しくて、メインは加工向けになります。たとえばキャベツならセブンイレブンのお好み焼き、冷凍食品のキンレイちゃんぽん、多数の大阪の有名お好み焼き店などに使われています。有名なメーカーさんや飲食店さんが、少しでも美味しくするために、という事で選んでいただいています。

ーそうなんですね!では私たちも知らず知らずのうちに、射手矢農園の野菜を口にしているかもしれないですね。
でもどうしても家で調理してみたい!と思った場合、どんな食べ方がオススメですか?

基本的に一番の食べ方は生ですね。たまねぎもキャベツも。
調理するなら、たまねぎならカレーなんて味がもう全然変わってきますよ。キャベツはお好み焼きがいいですね。有名店の味に近付けるかも知れません。

農業の魅力を後世に

ー最後に、今後の射手矢農園の展望についてお聞かせください。
うちには子供がいますが、やはり魅力を感じなければ継ぎたいとは思わないと思うんです。だから、いかに農業が魅力のあるものかをしっかり伝えて、これからも発展させていきたいと思っています。

現在もコンスタントに各種メディアで紹介される射手矢農園さん。とある番組で紹介された際には、1週間電話が鳴りやまなかった事もあるとか。そういったメディアへの出演や販路の戦略、先を見越した『泉州キャベツ』や『泉州たまねぎ』というワードの周知といったマーケティング。これらはすべて、自分たちの農業を次の世代へ繋ぐための魅力づくりでもあるのだと感じました。




射手矢農園

公式サイト https://www.tamanegi.tv/

執筆者名

編集部

うまい!泉州編集部

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