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ひたむきな姿勢が道を拓く あさつゆ愛のぶどう園 脇田勝之

2023.2.8

大阪でもめずらしいシャインマスカット狩りができる、あさつゆ愛のぶどう園。全国から注文が殺到する秘密は、脇田さんのぶどうにかける思いと、ひたむきな姿勢にありあました。

あさつゆ愛のぶどう園
脇田勝之

20種類ものぶどうを栽培するあさつゆ愛のぶどう園

ーこちらではたくさんの品種を栽培されているとの事ですが、何種類くらい栽培されているのでしょうか。
ぶどうの種類は世界で10,000種類以上あるといわれていて、そのうち日本で栽培されているが1,000種類程度あります。うちでは1,500坪の敷地に、12,500房 20種類のぶどうを栽培しています。中でも人気なのは、『クイーンセブン』という品種で、皮の色が赤くて糖度が25度もある、とても甘くて美味しい品種です。
ー糖度25度というと、どのくらいの甘さなんでしょうか。
スーパーなどでよく売られているすいかの糖度が大体12-13度ぐらいですね。
ーそういえばすいかには糖度のシールが貼ってあったりしますね。そう考えると相当甘いのですね。
はい、ほかにも『キリマンジャロ』という世界一超大粒のぶどう、シャインマスカットから生まれたシャインの王様『マッターホルン』、皮ごと食べられる黒い希少種の『マスカットノワール』、甘味がとても強いハート型の品種『マイハート』が特に人気でおススメです。

ーなるほど、どれも美味しそうですね。そんなたくさんの美味しい品種が食べ比べられるとあって、あさつゆ愛のぶどう園は大変人気だとお聞きしました。
ありがたい事に、シーズン中は約5,000名の方がご来園くださいます。Instagramブログをご覧になって、外国人観光客も多くいらっしゃいますね。

ー私も拝見しまたが、素敵な写真がたくさん掲載されていますね。ブログを拝見すると、通販なども人気ですぐに完売されているようですね。
はい、毎年楽しみにしていただいている方も多いです。

泉州の風土に合わせたぶどう栽培

ーしかしそれだけ美味しいぶどうを栽培するのは、色々と苦労もおありなのではないでしょうか。
どの農作物もそれぞれに難しさはあると思いますが、ぶどうは寒さに弱くて、暑すぎても良くないという特徴があります。適温は25度ぐらいですね。しかし近年は温暖化の影響で、ぶどうを育てることが困難になってきています。
そしてこの泉州の地でぶどうを栽培する事の難しさもあります。寒さに弱いと言いましたが、ぶどうが色付くためには適度な寒さは必要なんです。山梨や長野、信州の高原であれば、日中は暖かくて夜は冷えるので色が付きやすいのですが、泉州の場合日中は暖かいものの、夜はあまり冷えません。温暖な気候なんです。だから冷やすために、地面に藁を敷いています。
ー土地ごとの難しさというのがあるんですね。
しかし『デラウェア』という品種は泉州、泉南の地に向いていて、信州や長野の気候には合わなかったりします。品種によっても色々な特徴があるわけです。

摘粒の様子

ぶどうの栽培には、剪定作業から始まり袋掛けまで大きく分けて10工程の作業が必要です。
特に摘粒という、作業には技術と根気が要ります。これは、1房のぶどうに200の粒が付くのですが、それを30粒に減らす作業です。これを1房あたり10分程度で終えなければなりません。
ーシーズンを通して、とても手間のかかるものなのですね。
泉州全体でぶどう作りが盛り上がってほしいという思いから、現在は30~40人程度にぶどうづくりの指導もしているんですが、あまりの大変さにやめてしまう人もいるくらいです。

定年後にはじめたぶどう栽培

ー現在ではぶどうづくりの指導までされる脇田さんですが、どのようなきっかけでぶどうづくりを始められたのでしょう。
実はぶどう園の前は会社員で、営業をずっとしていました。専務となって定年退職したあと、61歳からぶどうづくりを始めたので、今年で18年目になります。
きっかけは、昔あった農業庭園「たわわ」という施設で、娘が10坪ほどの畑を借りて野菜を栽培していて、その隣の土地が偶然空いていたんです。そこで野菜を作らないかと言われたことがきっかけで、朝から夕方遅くまで畑仕事ばかりしていました。
―うまく熱中できるものを見つけたわけですね。
そうしていると、当時のたわわの組合長が、ハウスのいちご栽培を手伝ってくれないかと声をかけてくれました。これもまたすっかりハマってしまいまして、今度はハウスのぶどう栽培も任されるようになりました。ぶどうは、大阪府から派遣された指導員のぶどう教室でも作り方を学びました。
そうこうしているうちに3年が経ち、ぶどう教室の先生から、ぶどう農園をはじめてはどうかとお誘いがありました。
そこで意を決してはじめてみたものの、最初の6~7年は失敗続きで良いぶどうが作れませんでした。ところが8年目のある日、兄の友達に「めちゃくちゃおいしい!こんなおいしいぶどうは食べたことないから、商品として販売してはどうか」と言ってもらえるものが出来ました。孫からも、「次はこんな味のぶどうが食べたい」とぶどうの種類のリクエストをもらった事もあって、本格的に商売として販売してみようと決意しました。
―脇田さんの真摯に農業に向き合う姿勢に、自然と道がひらけていくといった感じだったんですね。

あさつゆ愛のぶどう園のぶどうを食べられる場所

ーさて、そんな脇田さんの作る、あさつゆ愛のぶどう園のぶどうを食べてみたいという方も多いと思います。
うちのぶどう狩りは、テイスティング用のぶどうを試食しながら農園を歩いて、気に入ったぶどうを購入していただくシステムになっています。その日に持ち帰りも出来ますし、配送も可能です。お土産用に、冷蔵庫で冷やした複数の種類が入ったカップぶどうも販売していて、暑い中ぶどうを狩った帰りに買っていかれる方が多いです。
通販はもちろん、ぶどう狩りにいらっしゃらなくても購入可能で、毎年2,000箱程度を全国に出荷しています。
お店ですと、泉南市のBABARA CAFÉや岸和田市のソレイユといったお菓子屋さんにも卸しています。大阪北新地にあるミシュラン店のオーナーさんは、直接に農園に買いに来られますね。

おもてなし日本一を目指して

―最後に、あさつゆ愛のぶどう園で大切にされている事をお聞かせください。
おもてなし日本一の農園を目指しています。良心的、安い、おいしい、これが大切です。
―たしかに、市場価格と比べて大変良心的な価格で提供されていると感じました。
正直に生きたいと思っています。だからお客様にも喜んでいただきたいし、栽培が大変なぶどうだからこそ、従業員や仲間を大切にしていきたいと思っています。
毎年新しい品種を見つけてきては栽培をし、ぶどうの美味しいを追及しています。

―これだけたくさんの種類を栽培しながら、さらに新しい品種にも挑戦なさる姿勢は素敵ですね。私もぜひプライベートで訪れてみたいと思います。本日はありがとうございました。

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執筆者名

編集部

うまい!泉州編集部

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