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生産者紹介

ブルーベリーを岬町のシンボルフルーツに ブルーベリーファームみさき 成子年男

2023.3.14

大阪府では珍しいブルーベリーファーム。そのひとつが、大阪府の最南端の岬町にあります。現在準備中のエリアを含めると、総面積1万㎡を超える広大な農園を、ご夫婦と応援メンバーなどで運営されている成子さんを訪ねました。
園主
成子年男

大阪でブルーベリーという挑戦

―大阪ではブルーベリーファームは珍しいですね。
大阪は栽培面積でいうと全国シェア0.2%、41位にあたりますので、たしかに珍しいですね。これは大阪の土壌がブルーベリー作りに適していないからです。適していないというのは、つまり美味しいブルーベリーが出来にくいということです。
―そうお伺いすると、大阪でのブルーベリーファームの運営は、大きなチャレンジのように思えます。
たしかに通常の栽培方法であればその通りです。しかし当園では、『ポット式養液栽培』という方法を採用して、大阪でも美味しいブルーベリーを提供することに成功しました。簡単にいうと、容器の中に樹を植え、水や肥料をパイプで自動的に行き渡らせる方法なんですが、そういったスマート農業やICTの活用によって、ハードルをクリアすることが出来たわけです。
―土壌の問題から既存農園もほとんどなく、新規参入も難しかったところに、最新の技術の導入で問題をクリアして参入されたわけですね。

営業職から農園経営へ

―最初にブルーベリーに目を付けられたのはどういったきっかけだったのでしょうか。
2017年に、夏休みの家族旅行で中部エリアに行ったとき、ブルーベリー狩りの存在を知って予約しようとしたのですが、いくつかあるブルーベリー狩り農園がどこも満員で予約できませんでした。それをきっかけに、ブルーベリー狩り農園に興味を持ちました。当時私は49歳でIT企業の営業職だったのですが、サラリーマン定年後の人生設計を既に考え始めていました。ブルーベリー狩り農園のことをいろいろ調べていくと、先述の通り大阪ではほとんど栽培されていないこと、現在では新しい栽培方法で大阪の農地でも栽培できることなどがわかりました。
―しかし農園を始めるには、労働力の問題や、集客や流通の問題もありますよね。
仰る通りブルーベリー栽培は、夏なら1日4回以上の水やりや雑草駆除など重労働です。しかしそれもポット式養液栽培や、除草シートの活用などで大幅に労力の削減が可能です。一般的に1人が管理できるブルーベリーは300本程度といわれていますが、こういった効率化で1,000本程度は管理できます。
集客についても、現代はSNSがとても活発ですよね。
―はい、旅行先の検討方法の上位にも、SNSが大きく食い込んでいます。
そう、ネットを活用すれば集客も出来るし、しかも観光農園であれば古い商習慣に囚われることなく運営が出来ます。そういった勝算があったので、定年を待たずにブルーベリー農園を始める決断をしました。
―すばらしいビジネスプランですね。
と、私も実際にやってみるまでは思っていました(笑) しかし実際には自然が相手なので色々苦労もしました。最新の設備の導入もお金がかかりますし、最近は異常気象もあります。
そもそもブルーベリーは、本格的な収穫までは樹を植えてから5年程度かかるんです。3年目頃から収穫は出来るのですが、ブルーベリー狩りが出来るほど安定的に収穫できるのは、やはり5年目ぐらいからになります。そのため私は2年目の苗木を仕入れて栽培をスタートしました。

岬町でも人気の観光スポットに

―そういったご苦労の甲斐もあり、来園者もかなり増えているようですね。
ありがたいことに、2021年→2022年では来園者数が1.5倍になりました。予約サイトでは受付開始とともにすぐに埋まってしまい、予約が取りづらい状況となってしまいました。さらに多くのお客様を迎えられるよう、徐々に栽培区画も拡張していっています。
―こちらではいろいろなイベントも実施されていると聞きました。
地元の幼稚園児の収穫体験や、農園内でのマルシェ開催、ジャム作りやブルーベリー染め体験、アイスやジェラートの販売など、いろいろな取り組みをしています。今後は植樹祭やお花見会なんかもやりたいですね。
―アイスやジェラートも美味しそうですね。
立地上、現時点では園内で調理をする事が出来ないため、加工してもらったものを販売するという形にはなりますが、ジャムなどを販売しています。 ブルーベリーは色々な料理に使えるので、そういったものを販売できる方法も模索しています。ピザやクレープ、スムージーにパフェにかき氷など、とても合うんですよ。

ブルーベリーを岬町のシンボルフルーツに

―メディアでも数多く取り上げられたり、各賞の受賞、大阪産(もん)に認定されるなど、年々存在感を増しておられると感じますが、今後はどのような展開を考えていらっしゃいますか。
私は岬町観光協会の理事も務めているのですが、ゆくゆくはブルーベリーを岬町のシンボルフルーツにしたいと思っています。
また、アンケートでは約半数の方が当園のみを目的地として来ていただいているので、近隣を含めた観光の導線づくりができれば、まち全体がさらに活気づくと思います。当園をご紹介いただいている泉州観光ガイドにもありますが、岬町はさまざまな観光資源が揃っています。ぜひ美味しいブルーベリーとともに、岬町自体も楽しんでいってもらいたいですね。

しっかりとした事業戦略を持ちながら、ブルーベリーや地域への熱い思いを燃やす成子さん。次々に新しい取り組みをはじめ、常に進化を続けるブルーベリーファームみさきから、今後も目が離せません。

Shop Data / 店舗情報

ブルーベリーファームみさき

公式サイト https://blueberry-misaki.osaka/

執筆者名

編集部

うまい!泉州編集部

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