うまい泉州 大阪泉州の食の総合サイト

生産者紹介

大阪唯一のミニトマト狩り キノシタファーム 木下健司

2023.4.6

みなさんは、「ミニトマト狩り」というものを聞いた事はありますでしょうか。関西でもめずらしいその「ミニトマト狩り」ができる農園が、大阪の和泉市にあります。そちらで『アマメイド』というブランドトマトを栽培する、木下さんにお話を伺ってきました。
キノシタファーム
代表 木下健司

大阪唯一のトマト狩りができる農園

―ミニトマト狩りというのはあまり耳にしないですが、珍しいのではないでしょうか。
大阪で観光農園としてトマト狩りをしているのはここだけで、関西全域でも2,3軒くらいですね。1時間食べ放題で、今年は3月の第3週から7月の第1週まで開催しています。

―やはりそんなに珍しいものなんですね。
普通の味のトマトではできないですからね。いちご狩りなら甘い・美味しいという前提、イメージがあって行きますよね。しかしトマトの場合は、「トマト狩りってなに!?」って感じだと思います。だからこそうちは、自信をもって美味しいトマトを提供しています。普通のトマトなら、それこそいちご狩りに行った方がいいですから。
トマトって特に大阪の場合は、味に徹底的にこだわって作っている所というのは少ないんですよ。これは需給バランスの問題で、市場(しじょう)が「この位の価格帯のトマトがほしい」となれば、それに合わせて供給する必要があります。そしてトマトというのは、価格の方に重きを置かれる傾向にある野菜なんですよ。だから必然的に、味に重きを置いて生産する農家が少ないんです。

アマメイドの美味しさのひみつ

―ではそのキノシタファームのトマトの、味へのこだわりについて教えていただけますでしょうか。
うちの『アマメイド』は糖度8と謳っていますが、実はこれは一般のトマトより少し高い程度なんです。世の中に甘いトマトはたくさんありますが、トマトの美味しさというのは甘味だけで決まるものではなく、酸味と甘味、そして旨味を含めた3つのバランスなんです。『アマメイド』は最初に酸味がきて次に甘味、そして最後に旨味が残る。

―甘味と酸味だけでなく、旨味もポイントなんですね。
いちご狩りによく行かれる方は経験があると思うんですが、たくさん食べようと思っても、意外と数を食べられなかったりしませんか。これってスイーツバイキングと同じで、甘さに重点を置く食べ物って、脳の構造上そこまで大量には食べられないんです。ところが『アマメイド』の場合、制限時間の1時間ずっと食べ続けていらっしゃる方も多いです。

―なるほど、甘味、酸味、旨味のバランスが成せるわざですね。
数でいうと100個ぐらい食べる方も多いですね。

年間を通しての栽培

―トマトのシーズンについて教えてください。
うちの場合は『アマメイド』を、年間を通して出荷しています。通常、8月9月は暑すぎてトマトの収穫が途切れるのですが、これを年中安定して供給できるようにしています。
だから飲食店などでも季節限定のメニューではなく、グランドメニューとして『アマメイド』を書いていただく事ができます。そうすると徐々に認知が広がって、他の場所で見かけた時にも「あの美味しいトマトか」と思っていただけるようになるという戦略です。
年間を通しての出荷は飲食店の方にもメリットがあって、先程申した通り普通のトマトには出荷が途絶える時期があります。しかしうちは年間通して出荷できるので、メニューを変える必要がありません。しかも年間契約の場合、毎月同じ価格で出荷しているので、お店としても原価のブレがなく、売り上げ計画が立てやすいんです。

『アマメイド』というブランド

―『アマメイド』はしっかりとブランディングもされていますね。
甘味と酸味、旨味のバランスの良さを伝えたいとデザイナーに相談したところ、人魚は人間と魚のいい所を取っていてバランスがいいよねということで、「アマメイドamamade」の提案をもらいました。
マーメイドは「mermaid」という綴りなんですが、作るの「make」つまり「made」を合わせて「amamade」にしました。

―その『アマメイド』は、どこで食べる事ができるのでしょうか。
このあたり(泉州)だと、イタリアンレストランや、フレンチレストラン、ホテルや道の駅(いずみ山愛の里)ですね。大阪市内だと高島屋、長居公園のOSSO MARKET & KITCHEN NAGAIで食べることができます。

雨の日の出会い

―農業を始めたきっかけを教えてください。
元々は大手製紙会社で営業職をしていて、29歳の時にこのままの会社勤めを続けていていいのか、とふと思ったのがきっかけです。新規就農って、農地の問題なんかもあってまだまだ参入障壁は高いですよね。その点うちは実家が農家だったんです。子供の頃は農業はやりたくないと思っていたんですが、その時は人生の選択肢として農家もありなんじゃないかと思えて。それで大学時代のバイト先の店長に相談したところ、新規就農に比べてそれだけの優位性があるんだし、やってみたらいいんじゃないかと。今考えたら無謀な話なんですが(笑)

―ご実家もトマト農家だったんでしょうか。
実家は小松菜や水菜といった、いわゆる軟弱野菜というカテゴリの野菜を作っている農家でした。まずはそのお手伝いからはじめました。ある雨の日、作業が出来ないという事で1日暇になりました。ちょうどその日、大阪府の経営講座があって参加してみたところ、そこでサンプルとして配られたトマトがとても美味しかったんです。

―それがこのトマトとの出会いだったんですね。
当時僕はトマト嫌いだったんですけど、これは美味しいと思ったんですよね。それで早速、その生産元である愛知県に半年間、住み込みでトマト作りを教えてもらいに行きました。その半年間は、めちゃくちゃ働きましたね。そこから大阪に戻って、最初は資金も要るので夜はバイトしたりもしながらトマト栽培をはじめました。本当に色々な偶然が重なって、今がありますね。ご縁というものは大切だと感じます。

キノシタファームのめざすもの

―今後はキノシタファームをどのように発展させていかれたいですか。
トマト狩りのお客さんを増やしたいですね。トマト狩りをオープンしたのが3年前で、その翌年からコロナ禍だったんですよ。だから正にこれからといったところです。
売上目標で言うと、トマトで年間売上1億円を目指します。そのために作地面積もまだまだ増やさないといけません。一反から初めて徐々に面積を増やして今は5反半ですが、これもまだまだこれからです。

Shop Data / 店舗情報

キノシタファーム

公式サイト https://kinoshitafarm.com/amamade/

執筆者名

編集部

うまい!泉州編集部

関連記事